2010年セザール賞で作品賞、主演男優賞は逃したものの、最優秀主演女優賞と最優秀脚本賞を受賞した作品だそうです。
重くシリアスな問題を盛り込みながらも、ラヴコメ好きが楽しんで観られるという、素晴らしい映画でした!
◆戦争より愛のカンケイ(Le Nom Des Gens)2010年
監督:ミシェル・ルクレール
●ジャック・ガンブラン●サラ・フォレスティエ●ジヌディーヌ・スアレム●カロル・フランク●ジャック・ブーデ●ミシェール・モレッティ●リオネル・ジョスパン |
タイトルの意味は "人々の名前"。
冒頭から主人公2人の名前の話で始まります。同姓同名だらけのありふれた名前、そして逆に国内で一人だけの名前。それがそれぞれの家族とルーツの話に繋がって行きます。
自分のルーツが見える名前に誇りを持つ者、フランス人と結婚し自分の名前・ルーツを封印して生きる者、自分の主義・主張に即したルーツを持つ男をゲットしてホクホクな者...。
日本で暮らしていると、人の名前からその背景を考えるようなことはほとんどありませんからあまり身近な話ではないのですが、なかなか興味深かったです。これまで知らなかったフランスの歴史的社会問題の一部も少し知ることができましたし。 ヒッピーだったフランス人の母と、家族をフランス人に殺されたアルジェリア移民の父の間で個性的に育った女・バイア。そして几帳面で潔癖なフランス人の父と、親をアウシュビッツで亡くした母の間で控えめで真面目に育った男・アルテュール。そんな2人が出会い恋に落ちて・・・というお話です。正反対に見えるこの2人の共通点は左派であること。特にバイアにとっては重要な点でした。
バイアは、"あたしの主張を聞け。あたしに同調しろ。反対は認めない" な女なんで。
正直、最初は彼女については「うわー・・・出た・・・」って感じではあったんですが、実は天真爛漫で意外にオモロイ女だったんですよ。正直で奔放でもの凄くキュートだし。主張する内容ももちろん平和を望んでのことですから、心優しいお嬢さんです。
但し、口で説得できない右派の男をベッドで油断しているところで持論を囁き改心させる、という過激な活動家ではあるんですけどね。彼女は自らを『政治的娼婦』と呼ぶ^^; そんな彼女との恋愛関係は、大半はほのぼの^^ やはり物腰柔らかく大人しめなアルテュールのキャラによるところが大きいのだろうと思いきや、バイアもなかなかの天然娘なんですよね。激昂しやすい女だけど、所々に可愛気があり息を抜かせる隙があって良いんです。激しさも若さのせいかと許せる気もしますし、とんでもないことをしていても、なんだか憎めないキャラクタです。
この映画は、シリアスな社会問題を扱っていますが、いい感じにコメディです。そのバランスがとても好みでしたね^^ ユーモラスで軽快な語り口・見せ方と、魅力的な登場人物たちによって、楽しくかつ心に沁みる物語が織り成されていました。ブラボーです!
脱ぎっぷりのよいバイアを演じたサラ・フォレスティエもとっても可愛くて好きになりましたが、アルテュールを演じたジャック・ガンブランがかなり気になりました。他の出演作ではどんな役をやってるのか知りませんが、アルテュールの草食な雰囲気がばっちりハマる彼にメロメロでした! |