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    【噂の二人】(1961年)

    オードリー・ヘプバーンの名前だけにつられて昔観たのですが、なんつー胸くそ悪い話なんだ...とドヨ〜ンとしながらDVDを棚の奥の方へしまいこんだ作品でした^^;
    ちょっとこれをもう一度チェックしたい理由ができたので観てみることにしましたー。


    ◆噂の二人(The Children's Hour)1961年 監督:ウィリアム・ワイラー
    親友同士のカレン(オードリー・ヘプバーン)とマーサ(シャーリー・マクレーン)は、共同で女学校を経営していた。経営が軌道に乗り始めたある日、カレンはフィアンセのジョー(ジェームズ・ガーナー)とついに結婚を決意。しかしマーサはジョーへの嫉妬から祝福できずにいた。そんな関係を偶然知った問題児メアリーが、二人が同性愛関係にあるとの噂を流し・・・

    やはりとんでもなく気分の悪いお話です。
    一応は同性愛ということが問題になっているような話の流れですが、描いているのは人間の恐ろしさ・タイムレスな心理ドラマです。一人の少女が叱られた腹いせに発した嘘が原因で、3人の人間の人生が崩壊してしまうという物語。

    実際に子供達が見聞きしたのはちょっとした慰めの頬へのキスや、マーサの叔母・モーター先生(ミリアム・ホプキンス)による姪への不用意な小言。普段から行動に問題のある女子生徒のメアリーが、この閉塞的な田舎町で権力を握っていると思われる祖母(フェイ・ベインター)にそれらを大袈裟にして言いつけたというのが問題の発端です。「キス」 とモーター先生が発した「不自然・異常」や「独占欲」というキーワードを強調したわけです。元々は "嘘" と言えるほどの創作はしていませんが、追求されれば更に大袈裟に上塗りをするのでやはり彼女の嘘が原因となってきます。

    この話を聞いた祖母が鵜呑みにするものかと言う所に疑問が湧くかもしれません。彼女がいかにも孫を甘やかしているダメ祖母であれば彼女を集中的に責めたい所ですが、実際はそういうわけではなく、学校で厳しく躾けてくれることに賛同・感謝しているまともな大人なんですよ。それがなぜこれに限って鵜呑みにしたのか。
    彼女が言うには「この年齢の子供が思いつける内容ではない」とのこと。確かにそう思います。実際、ゼロから創作しているわけではありませんし。そこで彼女は学校へ出向き、自分の耳でモーター先生の証言(実際にはモーター先生は単なる愚痴を垂れ流しただけ)を聞き、孫の話と照らし合わせた結果、解釈を誤ってしまったわけです。そして子供たちへの影響を考え他の親たちに話を広め、全寮制学校から生徒を一人残らず引き上げさせる事態に発展となりました。そして、2人の若い女性教師とカレンのフィアンセの若い医師(ジェイムズ・ガーナー)の人生が狂ってしまったわけです。このお祖母さんが決して悪い人間ではないだけに、もどかしくて仕方ないですよね。
    (教師がゲイではいけないのかという点については、この映画では主な論点にはなっていません。)

    当然二人は反論しますが、結局崩れ落ちていくばかりの二人の行く末は物語として無理がなく、現実に起こりえそうな恐ろしく悲しい展開がリアルでイヤぁ〜な感じになります。
    インターネットである事無い事なんでもあっという間に広がる時代に住む私たちには、'61年当時よりも更に容易に想像/理解できる話かもしれませんね。深い考えもなく簡単に他人を批判し、本当かどうかを確かめることなく広げてしまう。場合によっては話し手がウケたいがために話を盛ったりして、訳の解らない風評被害をもたらしたり。他人の人生がどうなろうと知ったこっちゃない、というわけでしょうか。人と関わって暮らしている以上、いつ自分が人生を壊される側になってもおかしくないです。発言は慎重に。(自戒)

    ヘプバーンと並ぶとどうしてもちょっと地味でイケてない女に見えてしまうマクレーンでしたが、露に見せる怒りやお腹に抱えた一物を含む微妙な感情を繊細に演じる彼女には魅了されずにいられませんね。
    また、ヘプバーンの方は演技の上ではマクレーンには少し劣る感じもありましたが、最後のシーンにおけるまっすぐ前を見据える力強い瞳と凛とした姿勢は、とても立派で素敵に見えました。
    カレンのティルフォード夫人(メアリの祖母)に対する誇り高い対応もアッパレでしたね。 ヘタレな私ならお言葉に甘えて取れるだけ取ってやれ、とか考えちゃうところかも^^; 彼女たちの場合は "許す/許される" 文化(?)ならではの対応なのかもしれませんが。


    さて、今回私がこの映画をもう一度観てみようと思ったきっかけは、先日観た「鳥」で主人公女優よりもよっぽど真に迫った演技を見せていた、子役のヴェロニカ・カートライト。彼女がこの映画にも出ていたと知り、どんなんだったかチェックしようと思ったわけです。調べるとこちらは「鳥」の2年前の出演でした。性悪メアリーに脅される気の弱い少女ロザリー役で、せきを切ったように泣き叫ぶ様は「鳥」での演技を彷彿とさせています。これを見て「鳥」に起用したのかもしれないですね。子役特有の大振りな過剰演技が鼻につく部分も無いわけではないですが、ちょっと複雑な想いを抱える少女を見事に演じていますよね^^

    しかしこの映画におけるスゴい子役と言えば、やはり性悪少女メアリーを演じたカレン・バルキンがかなり印象的です。イヂワル女を演じるために生まれてきたかのようなあの顔つき!!あの目つき・表情は、お人形のような可愛らしい少女にはとてもできないでしょう。彼女がいかに憎たらしく見えるかも重要な要素ですから、カレン嬢の起用は素晴らしく成功していると思います。もちろん演出と演技の賜物でもあるでしょうから、見た目ばから褒めていてはいけないでしょうけども。

    内容は同性愛を扱っていますが性的な表現はありませんから、そういったものが苦手な方も安心してディープな物語を楽しめるかと思います。しかし、力強い結末ではありますが、もしかしたら救われない結末にも思えるかもしれません。ヘプバーンの名前だけに惹かれて観ると痛い目に遭う(^^;)映画の筆頭かもしれないくらい、一般的にウケるお気軽映画の趣では全くありませんので、ご注意ください。
    個人的には、ハリウッド的おとぎ話なハッピーエンドにされず、厳しい現実がリアルに描かれている所が結構好きでした。audrey
























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