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- 2023.12.07 Thursday
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アンソニー・ホプキンスの表情による繊細な演技が絶品 ◆日の名残り(The Remails Of The Day)1993年 監督:ジェームズ・アイヴォリー、原作:カズオ・イシグロ
毎日大半の時間を屋敷内のことに気を配って過ごし、主人に献身的に仕え続ける執事という職業は本当に凄いですよね。この話の主人公の執事スティーヴンスは、自分の感情はことごとくしまい込み、主人の主義主張に関する意見は(本人の前でなくても)絶対に言うこともないし、プライベートな心情も仕事の妨げになると思えば全て断ち切るという徹底振り。執事の鑑と言うべき男です。そのために内心ほのかな恋心をを抱いた相手にも素直にそれを出すことは皆無で、実はそれを悔いつつも変わることのできない不器用さがもどかしい。また、執事の立場をわきまえ思いの巡る様々な場面での抑制された表情など、繊細な心情をセリフに出すことのないまま、私たちの心に沁み入らせる演技にジーンときます。品格を充分に感じさせながらも、主人に仕える立場をわきまえたそれであるということを完璧に演じきったホプキンスはかなりのハマり役でしたし、名演技に感動しました。 エマ・トンプソンは巧い女優さんだとは思いますが、普段は実はそんなに好みではないんです。しかし、この女中頭を演じた彼女は他で見るよりなぜか美しく感じたし、上手くハマっていたと思います。有能な女中頭としてきっちり仕事をこなし、執事スティーヴンスにも言いたいことをはっきり言いつつも、大切な心の内は言うことはない。やはり1930年代の女性ということなんでしょうか。 全体に派手さは全くない淡々と描かれる映画ですが、重厚さが大人の心をぐっと掴む優れた純愛物語と言えそうです。同じく名家に仕える人々を描いていて楽しめた「ゴスフォード・パーク」のような俗っぽい雰囲気は無く、しかしこれもまた本物らしさを感じられる素晴らしい作品です。これだけ地味で長い話なのに全くダレずに観られたということがその証拠かな。 ダーリントン卿の甥の役でヒュー・グラントが出ていましたが、彼の頭にピッタリ撫で付けた髪型は少々いただけませんでしたが・・・ |