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    • 2023.12.07 Thursday
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    【日記・本】Rainbow Boys

    表紙をよく見てください!マット・ボマーがいますよ!!
    ということで、ジャケ買い(?)した2001年発売の小説を読みました。
    中を見ると分かるんですが、表紙の3人が登場人物のイメージになっているんですよ。マットのイメージで読めるって贅沢ですよねー♪

    3人のゲイの高校生の物語です。各章ごとに代わる代わる3人のいずれかの目線で語られる形式で、それぞれで何が起き、何を考えているかが分かりやすかったです。

    その3人はこんな感じ。

    ・完全にゲイであることを公表済みのネルソン。エキセントリックな髪型にも挑戦しリングのピアスをたくさん付けていたりとオシャレ好きで、サーカスティックな発言も多めな生意気なタイプ。

    ・ベースボールキャップがトレードマークで数学が得意のカイルは、ネルソンの親友。学校ではゲイだと知られているが、男らしいアスリート至上主義の父の居る家では隠している。基本的には穏やかで優しい少年。

    ・イケメンで人気者のバスケットボール選手ジェイソンは彼女持ち。彼女とはセックスもする仲だけど、実は男子が気になり、ゲイの若者専門のホットラインで勧められた会合に出てみる。そこで同じ学校の同級生ネルソンとカイルに遭遇して動揺。

    ジェイソンのイメージがマットです。そりゃぁイケメン役でしょう!ネルソンが「I'm sick of everyone saying how cute Jason is.」なんて言ってる場面もありました^^

    ゲイであることを公表しているマット・ボマーの大ファンになって以来、彼の発言や彼が参加する活動などを通して、これまで自分には関係のないこととして全く興味も無かった同性愛というものに、私は少しずつ関心が向いています。

    でも専門的な文献などを読んだり関係する活動に積極的に関わったりするようなことは今のところないため、上辺の知識程度しか入らないんですよね。

    この本を読んで、同性愛者の方たちがどんなことを悩んできて、どんなことと戦っているのかなど、 "なんとなく解ってる/想像できてるつもり" だったことを、グッと身近に感じることができました。

    この小説では高校生たちが主人公なため、普段(私にとってはマットの発言によって)耳にすることの多い、結婚や職場などでのゲイの権利といったオトナの世界の話以前の、心の内の動きに触れることができるのは大きいですよね。

    特に冒頭からジェイソンがぶち当たる、自身の性指向への戸惑いの部分が興味深かったです。疑問を持ち始めてから、どんな風に自分自身を受け入れていくのか。葛藤があったり、自分の気持ちに従ってみたり、後悔したり。物語として着地点は予想できますが、こういう気持ちに寄り添えたのは貴重な感じがしました。

    その他、学校という社会の中での位置とか家庭内の各々の事情とか、17歳の未熟さが招く問題も含め、青春時代のほろ苦さも味わいました。が個人的には、3人それぞれの手を握るだけで舞い上がっちゃうくらいの初々しく可愛らしい恋愛関連を主に楽しみました。(いつも通り 笑)大人である私も親目線などではなく、彼らに感情移入して彼らと共にドキドキしたり凹んだりしながら、すっかりのめり込んじゃいましたね。

    その流れで、彼らのゲイとしての戸惑いや迷い、悩み、生き方に(同性愛者でない私がそう言っていいのか分かりませんが)共感のようなものを感じていくんですよ。こんな締めくくりでは味気ないとは思いますが、とても勉強になりました。

    ティーンだけでなく、大人にもオススメしたい小説ですよ。同性婚に反対してらっしゃる方などに読んでみて欲しい気がしますね。

    トリロジーなので、残りの2冊もすぐお取り寄せ発注しちゃいました。登場人物は同じはずですが、表紙からはマットは消えているようです・・・。




    【日記・本】Eleanor & Park

    出だしから「 "XTC じゃ後部座席のアホどもはシャットアウトできないか・・・" ヘッドフォンを耳に押し付けつつ考える。"明日はスキニー・パピーかミスフィッツでも入れてくるか"」(私的意訳)から始まるんですよ、この小説。第一語がいきなりバンド名だなんて、私に読めと言わんばかりじゃないですか♪全編に渡ってロックミュージックの話題も演出となって効いていて、とても楽しかったです^^

    韓国とのハーフの少年パークはある日、スクールバスで見知らぬ女子と隣の席になる。彼女は個性的ファッションなぽっちゃり系のエレノア。はじめはお互いになんとなく気まずくてイラつきを感じていた二人だったが、やがてコミックと音楽という共通の趣味に気づいたことにより、徐々に仲良くなっていき・・・

    んまぁー!!甘酸っぱいわよぉ!!純愛よぉ!!
    首すじ辺りにゾゾっと来るわよぉ!!


    舞台は80年代アメリカの田舎町。16歳の子たちの話ですが、どれだけ読んでも12〜13歳のイメージでしたけどね。16歳ってこんな幼い感じでしたっけ?
    ・・・うーん、考えてみれば15歳時の周りの男の子たちって、おはヨーグルト、ともだちんこ一色だったか^^;

    ということで、16歳の男女の初恋純愛物語です。
    正直、(この年で読むには)早い段階でバカバカしくなってきちゃうんじゃないかという不安はありました。
    が、少女漫画的な軽いラブストーリーなんて雰囲気ではなく、ヘヴィで苦しい所もあり、深刻に感じる部分もあるお話で、とても引きこまれましたね。

    エレノアにはパークにもなかなか話せない家庭の事情があって、それが二人の関係や行く末に関わってくるわけです。
    学校の行き来のバスでこっそりと愛を育む二人の微笑ましいやりとりからどんな風に先へ進んで行けるのか、またエレノアの家庭環境がどう影響して行くのか、など気になって、どんどん読み進めていけましたよ。

    とは言っても、やはり少年少女の初々しい恋愛の話ですから、ノレない人は全くノレないかもしれません。大人としては、つい親目線になってしまうかもしれないですし。しかし、かつて経験したことがある、相手の手に触れるだけでドキドキが最高潮になっちゃうようなピュアな恋。そういうものからこれだけ遠ざかって久しくなると、逆に不意を突かれたようで心臓がバクバクする部分もあったり Σ(*´∀`*;)ドキッ!!
    もちろん、「甘酸っぱいの、カモォーン!!」って気分の時にはモッテコイ♪

    あとは、コミックの知識があったら良かったのになーという感じだったかな。「バットマン」、「ウォッチメン」、「X-メン」など、映画にもなってるけど私はノータッチな類のものばかりなので、これら関連の話題には残念ながらあまり付いていけませんでした。
    一方、音楽の方は80年代 New Wave 系。詳しくはないけどある程度わかるので楽しめました^^女の子との出会いにはやっぱ The Smiths ですか♪定番なんですね〜。しかしこれに留まらず彼らは、 Joy Division 「Love Will Tear Us Apart」 で更に絆を深めます。て、重いねん!暗いし!でもこれがこの二人のテイストだったりするんですよね。

    英語は "一見" 難しくない感じでした。一文が短くて、音節数の多い単語がとても少なく簡単な言葉が多かったので。ま、しかし実際は、簡単な単語で作られる私の知らないイディオムが満載だった印象ですね。スラスラ読めるけど、意味がちゃんと解らず前後関係から雰囲気で行っといた部分も結構ありました^^;

    あと、パークとエレノアそれぞれの視点からほぼ交互に語られていく形式がとても良かったです。それぞれの考えや事情がこちらには丸わかりで楽チン♪〜(´ε` )
    但し、結末だけは、こちらで想像するようになっていました。それもまた良し^^

    ▼"Love Will Tear Us Apart" / Joy Division


    ▼"This Charming Man" / The Smiths


























    【日記・本】トラウマ恋愛映画入門

    ものすご〜く面白い本を読みました!!
    映画評論家の町山智浩氏による、映画解説本です。

    恋愛映画にちっとも興味が無い人のための ホラーより怖くて コメディより笑えて ミステリーより謎で AVよりエロくて アクションより勇気が出る 恋愛映画 地獄めぐり!』(帯より)

    こんな面白そうな恋愛映画がこんなにいっぱいあるのねぇ♪とワクワクしちゃいました!
    ていうかとにかくこの本が、めちゃくちゃ面白かったです!!

    ::紹介作品::
    チェイシング・エイミー●アニー・ホール●エターナル・サンシャイン●日の名残り●アルフィー ('66)●ことの終わり●めまい●パッション・ダモーレ●ジェラシー●隣の女●リトル・チルドレン●ラストタンゴ・イン・パリ●愛のコリーダ●ラスト、コーション●幸福●赤い影●アイズ・ワイド・シャット●ブルーバレンタイン●逢びき●道●アウェイ・フロム・ハー●永遠の愛に生きて

    これらにそれぞれ、『オクテのオタク男はサセ子の過去を許せるか?』とか『女たらしは愛を知らない点で童貞と同じである』など、解説内容を要約した見出しがつけられています。(Amazonの商品説明欄で見てください)

    ロマンティック・コメディではなく、恋愛映画。それも甘い恋愛ではなく、トラウマになるほどのヤバいヤツばかり!!紹介されている作品リストの中に一作でも鑑賞済み作品がある人なら、どんなものが取り上げられているのかはだいたい想像できるんじゃないでしょうか。
    なんたって表紙は「ブルーバレンタイン」ですしね。
    観てないものに関しての実際は分かりませんが、少なくともこれを読むと「うへぇー!やっべー!!!」と震えて縮こまる、もしくは「うっわ、きっつぅー・・・」とウナダレる、そんなのが目白押しです!

    それらのあらすじから見どころ、登場人物たちの行動や心情の解説などが、著者が長年培ってきた映画の知識を織り交ぜて、分かりやすく紹介されています。

    私はこの本で紹介されている作品の多くが未見なので、この本を参考にして是非とも実際に映画を観たいところ。

    ところがですねー、この本にはあらすじは最初から結末まで書かれているし、面白い部分も細かく説明されているので、これを読んだだけで粗方映画を観たような気になって、結構満足しちゃってたりして^^;

    いや、いいんですよ?これだけのことが書かれているからこそ、この本がものっすごく楽しめたわけだし、文句じゃないんです。町山氏が語るあらすじはホント絶品なんですよ。とにかくオモシロそうなの!だから逆に、実際に映画を観てみたら「本の方が面白かったな」なんてことになるんじゃないかって懸念があるくらい。

    とにかく要は完全ネタバレなので、人に薦めたいけど薦めていいものかどうか...って感じで、スンゴイ悩ましいんですよねぇ。ホントに面白いし、読んだらきっと映画が観てみたくなるとは思うんですけど・・・。ま、私はこの本を物凄く楽しめましたよ!!ということで。

    個人的にこの中で一番ヤバそうで気になったのは「パッション・ダモーレ」。しかしどうやら現在はDVDが販売されていないみたい。映画チャンネル各社様、よろしくお願いします^^
















    【日記・本】ウルフ・ホール〔上巻〕

    下層の出ながら出世を重ね、ヘンリー8世の側近となり活躍したトマス・クロムウェル。
    そのクロムウェルの視点で16世紀イギリス宮廷を描かれた小説「ウルフ・ホール」の上巻だけ、やっと読み終えましたー。(50日もかかった...)
    ヘンリー8世とアン・ブリンの結婚問題界隈のお話でした。

    元々私はドラマ「The Tudors」を観た時から(たぶん演じたジェイムズ・フレインを抜きにしても)クロムウェルのファンでしたが、この小説で読んだ彼はやっぱり私の好きなタイプ!!



    とにかく賢くて、いつも冷静。感情的にならずしっかり状況を読み、的確な言動で上手に立ち回る。彼を好ましく思わなくても一目置かざるを得ない "たいした男" !! 基本的には穏やかで、ユーモアもあるステキな人です^^ 実際のクロムウェルの見た目はジェイムズ・フレインには全く似ていませんが、ジェイムズのあのクロムウェルのイメージでバッチリ♥益々好きになりました♪
    とにかく読んでいて楽しいところがいいですね♪

    とりあえずこの上巻は、クロムウェルの生い立ちが少しと、ウルジーの元で働いている時期が大半です。自宅での子どもたちとの生活や、アン・ブリンとの関わり、そして王ヘンリーに少しずつ取り立てられていく様子など、彼の忙しい毎日を追っていきます。しかしまだ、政治的にはあんまり出世していない頃の話です。・・・というか、492ページもある本ですが、話はほとんど進みませんでした^^; まだヘンリーとアンは結婚できてません。

    その分、人間らしいクロムウェルが、じっくり丁寧に描かれていました。常人とは一線を画す人物なのねぇということだけでなく、人として魅力を感じずにいられません^^
    北部へ追いやられたウルジーの行く末と彼を支えるクロムウェル、クロムウェルの家族や商人など平民たちとクロムウェル、そしてクロムウェルを敵視する者や取り込もうとする者...とクロムウェル。それぞれにおいて "上手くやる" 彼がカッコいいです!
    もちろん家族を大切にする彼もステキ♪

    クロムウェルは野心家と言われた人のようですが、これを読むとそれよりもとにかく切れ者という印象が強く、後にエラい人物になるのも、なるべくしてなったんだろうという感じがしますよ。野心を燃やして他を蹴散らし、王に媚びを売りまくって上り詰めた、みたいな言われ方をしてたとしたら、ただのやっかみでしょ?と思っちゃう^^
    ほんと、ステキなクロムウェル像が堪能できてとても嬉しいです!
    クロムウェルは悪人、という意識をお持ちの方が読まれたら、イメージ変わるかもー。(フィクションですけど)

    それにしてもこのペースでは上下巻じゃ終われないよね?? と思ったら、「罪人を召し出せ」という「ウルフ・ホール」に続く本が出てました。ま、とりあえず下巻を読んでからですね。

    ::2014年3月16日追記::
















    【日記・本】リスボンへの夜行列車〔その2〕

    先日の記事(→こちら)の続きです。

    映画でのジェレミー・アイアンズはいい感じにの枯れた雰囲気を出していたので、グレゴリウスのキャラクターにも期待していましたが、実ははじめは原作のグレゴリウスにはジェレミーほどの好感は持ちませんでした。
    映画の中では戸惑って挙動が不器用に見えるところがカワイー♪なんて思っちゃってましたが、原作で彼が変な挙動と同時に考えた内容を読むと、昔気質の堅くて退屈なただのおっさんか...と若干ヒいたくらいで。



    しかし原作での彼は、冒頭の旅に出る過程や、列車内は勿論リスボンに着いてからも「良いんだろうか?」といつまでも迷い続ける様、そして堅い彼の性格がよく表れた物の考え方など、映画のグレゴリウスよりもずっと人間らしくて、読んでいて面白いんですよね。映画では彼の人物像の書き込みがちょっと足りなかったような気がします。
    ・・・て、ちょっと待って!私、あの映画は日本語字幕無しで見たんでした。なので、あとで撤回しまくることになるかもしれませんけども^^;

    本文中、アマデウによる著作やスピーチ原稿、手紙などの文章が(当然、映画以上に)ちょくちょく挿入されていました。グレゴリウスと一緒にアマデウの思想を私たちも一緒に読んだ形になりますが、やはり普段から必要なことしか考えないで暮らしている私には難しめでしたね。中には、神ってナニサマなんだよ!と否定したり神の言葉に逐一異議を唱えるような面白い部分もいくつかありましたし、心に響き印象に残る言葉もありましたが、疑問自体が何を言ってるのかよく解らないものもあったり。

    ま、深く理解できないながらも、たまーにこんなことをゆっくり考えてみるのも面白いわねーと思いましたが、基本的には、いつもいつもこんな風に突っ込んで色々考えてたら、生きるのツラそうだなぁ・・・なんて考えながら読んでいた感じです。

    でも凄いのは、「わかんなーい」と思う部分があっても、読み続けることが全く苦にならなかったこと!恐らく、解らないとは言っても「抽象的過ぎてサッパリ・・・」といった、読む気が失せる類のものではないからかな。だからと言って考えれば解るとは限らない部分もありましたし、抽象的でもあるんですが、後になって解ってくる部分もあったりして、最終的に「???」ばかりの印象にならないのがいいのかも。

    もぉ、とにかくハートを鷲掴みでした^^終わりが近くなってきた時には「この世界から出たくないよぉ〜!」と悲しくなってしまったくらい!きっとまたすぐ読み返しますよ!
    私のお気に入りは、ギムナジウムの講堂でのスピーチですね。映画でも結構長かったので、あれは全文だったのかも。

    アマデウの高校時代の恩師(映画ではクリストファー・リー)が、アマデウの親友ジョルジェについて印象を語る場面がありました。ジョルジェというのは、映画ではアウグスト・ディールが演じていたのですよ。ということで、引用してご紹介しておきましょう。

    【農民丸出しの顔と、櫛など入れたこともないようなもじゃもじゃの髪、鈍重で不器用な雰囲気のせいで、ジョルジェは愚鈍そうに見えました。】

    いいえ!!断じてそのようには見えませんでしたよ!カッコいーもん!いつでもカッコいいんだもん!! (`Д´)ムキー! アウグストは何気にミスキャストだったんじゃないのぉ?(笑)
    映画でのアウグスト、登場時は高校生だったんですよ。ティーンエイジャーを演じておられます。
    いかがでしょうか?いや、私からはなんとも・・・(笑)


    それから、アマデウの妹の風貌や振舞いを読んで、映画でのシャーロット・ランプリングがいかにハマっていたかが分かって感激しました。一度はこの役をヴァネッサ・レッドグレイヴが演ると決まっていたそうです。でも、ランプリング女史がイメージ通りだったと思います!是非みなさん、映画で確認してみてください♪そしてその後に原作も読んでみてください^^

    あれ?結局、映画のことばかり書いちゃった感じですね・・・。要はどちらもすごく好きなんですよ♪
    哲学小説というジャンルになっているようですが、私としては「大人向けアドベンチャー小説」とでも呼びたいですね。とてもお薦めです!^^























    【日記・本】リスボンへの夜行列車〔その1〕

    先日ウェブ上で観た「Night Train to Lisbon」(→過去記事)が気に入ったので、評判のよい原作も読んでみることにしましたー。

    凄い力作の読書感想文を書いたわけじゃないんですが、やけに長くなっちゃったので2回に分けてアップすることにします。中身は読まなくとも(汗)この長さから熱意だけは感じてもらって、「そんなにハマるんだぁー」と "気になって" 頂けたらいいなーと思います^^



    スイス人の哲学者でもあるパスカル・メルシエによって書かれた小説です。2004年にドイツ語で出版された後、2008年に英語版が、そして世界中で翻訳され国際的ベストセラーとなり、2012年に日本語版が出ています。

    この本は、いかにも私が喜びそうなハイテンションコメディとは真逆のような内容ですが、読み始めてすぐに強く魅了されました。主人公のキャラのせいか全体に雰囲気は静かで地味なのに、読んでいてすごく楽しいのです^^
    映画を先に観て内容を知っているので読みやすかったということもありますし、読みながら主人公の顔として想像するのが、映画で主演したジェレミー・アイアンズだったことも関係あるかもしれません。しかもこの映画でのジェレミーがかなり好みのタイプだったのでね。

    実際には、原作の中で描写された主人公の見た目はジェレミー・アイアンズとは似ても似つかない男でしたが、大部分においてはジェレミーを想像していても不都合はないかな、ということで^^

    スイス・ベルンの古典文献学教師・グレゴリウス、57歳。同僚や生徒に尊敬され、不満のない人生を送っているつもりだった。しかしある日、ひょんなことから手に入れたアマデウ・デ・プラドなる人物による哲学的な著作に心を揺さぶられたことにより、それまでの生活全てを捨て去りリスボンへの夜行列車に飛び乗ってしまう。アマデウを訪ねるために・・・

    個人的には、この映画を観るご予定の方で、映画と原作の違いに「がるるる」となりがちな方には、原作は、映画を観た後に読むことをお薦めします。

    映画は映画でとても良いのですよ。ミステリアスで美しい、ステキな映画だったと思います。しかし、原作の小説の方が更に面白くて引き込まれたんですよねー。でもどちらもステキなので、先に小説を読んだことで映画が楽しめなかったら勿体ない!と思うんです。(いつ日本で映画が公開されるのか知りませんが...)

    この小説は、おっさんがポルトガル人医師・アマデウによる哲学的な思想を少しずつ読みほどきながら、アマデウを知る人物たちを訪ね歩いて彼の人生を探り、彼への理解を深め、同時に自分の人生に重ねて見つめ直し、これまでと全く違った人生に踏み出していく話です。

    しかし、映画だけ観た時には特にそうは思わなかったものの、原作を読んだ後では、映画のグレゴリウスはなんだか狂言回し役に留まってしまっていたような気がしてきたんですよ。やはりこのおっさんに全てを放り出す衝動を起こさせたアマデウという人物が、いったいどんな男なのか/何を考えていたのか/何が起きたのか、というところに焦点を当てるのが映画としては妥当っぽいからでしょうか。映画には、もちろん回想ですが、アマデウが目に見える人間として "登場" しますから、余計に彼の物語が印象に残りました。となると映画は、この小説とはちょっと違った趣だったんじゃないでしょうか。全体のあの美しい雰囲気は、みごとに写し取られていましたけどね。

    派手ではありませんが、グレゴリウスと一緒に心の冒険をしていくようなワクワク感も感じながら、しっとりと大人の物語に浸っていけるのがとても良かったです^^ そしてやはりグレゴリウスへの羨望ですよね。普通はそうそう簡単にはできない、「それまでの人生をポイっと捨ちゃう!しかも無計画に。」ということ。それを、そんなこと絶対にしそうにないこのおっさんが、フラっとやってくれちゃうわけですよ。読んでて楽しくてしょうがありません^^

    ※次回へ続きます。






















    【日記・本】恋愛曲線

    SONY READER で電子書籍【恋愛曲線】を読みましたー。
    青空文庫(無料)の小説です^^適当に選んだのですが、いいものに出会いました♪

    「恋愛曲線」。その言葉からまず思い浮かべたのは、恋愛における気持ちの上がり下がりの男女比なんかに用いられるようなグラフ状のものですし、この作者の名前すら知らなかった私ですから、ジャンルすら分らないままタイトルだけでダウンロードしたわけですが、ロマンティックな恋愛小説ではありませんでした^^


    著者、小酒井不木(こさかいふぼく)は医学博士で、生理学の分野では当時、世界的な権威だったそうです。
    なるほど。やけに細かい医学的説明が凄いなーと思ってたんですよ^^
    この物語の最初から最後までが、一人の男が友人に宛てた一通の手紙となっているので、短い小説です。電子書籍で40ページでした。


    主人公(手紙の書き手)は、金持ちの友人に恋人を奪われた青年医師。彼はその友人と自分の元恋人がいよいよ明日結婚すると知り、当日友人の元に届くよう手紙を書いています。結婚式を控えた新郎相手に「忙しいだろうけど贈りものなんで是非最後まで読んでくれ」と。

    その贈りものというのが「恋愛曲線」。失恋を機に心臓の研究に没頭した彼は、心臓に喜怒哀楽を含んだ血液を流すと、心臓が発する電気の振動が描く曲線が感情の種類によって違ってくることに気づき、結婚祝いの贈りものとして究極の「恋愛曲線」を贈ることに決めたわけです。その「恋愛曲線」を作り出すには?そして新郎が受け取ったのは?

    おぉ〜ぅ!ゾゾゾとくるとても面白いお話でした!
    これから結婚式だという男が読まされる手紙に、心臓の仕組みだの、実験の経過だの仕掛けだのを延々と書き連ねるって、どんな嫌がらせやねん!と半ば呆れながら読んでいましたが、なるほどなるほど。こりゃ面白い!
    彼が行った実験そのものも、怪奇的というか変態的というか、よく思いつくな〜という感じで面白いですし、オチも上手いことドキドキさせてくれました!

    大正時代の作品ですって。
    言葉も読みにくいものでもなかったですし、彼の作品をもっと読んでみたいと思いました^^

    →青空文庫で無料で読めます














    【日記・本】卑しい肉体

    先日DVDで観た映画「Bright Young Things」の原作、イーヴリン・ウォーの「Vile Bodies」を読んでみましたー。日本語版で^^
    【卑しい肉体】

    日本語版は、発売されたばかりのハードカバーしか無いのでちょっと高かったけど、今が読み時なので買っちゃいました!『20世紀イギリス小説 個性派セレクション』とかいうシリーズもので発売されたから仕方ないのか、ちょっとつまらない表紙でしたが^^;

    しかしこうして読んでみると、あの映画もなかなか巧くできているんだなぁ〜と益々好きになりました。ドタバタコメディな流れ、雰囲気から、各キャラクターの再現。とりわけ、アガサ嬢、ブラント大佐(ニーナの父)、シェパーズホテル主人ロッティは、完全に一致してるんじゃないかな♪

    1930年に出版された小説で、〔当時話題だった上流階級・知識階級の無軌道な若者たち「陽気な若者たち」の生態を内側から描いた〕(解説より)作品です。

    映画を先に観たので物語は分かっていましたから、映画で描かれなかった部分や、(英語字幕で観たために)よくわからなかった部分の確認ができることも楽しみに読みました^^映画では、あの時間にまとめるためには仕方ないのかな?という感じの唐突感やあっさり感が若干ありましたが、本ではそれが更に上を行っていて驚きました。そういうテイストなんですねー。

    中身では一番確かめたかった部分を読むのが楽しみでしたが、そんなクダリは無いときた!これにはビックリ><
    んじゃぁマイルズはなぜフランスの警察に呼び出されてたんだろぉ・・・タイガーがどうしたのん??^^;予想はしたけど、あの場にいた誰もがハッキリ言ってなかったから自信がなくて・・・。原作に答えがみつからず残念でした。

    終盤の展開は、映画の方は大分オリジナルになっていたんですねー。原作でのアダムとニーナとジンジャーの三角関係は、個人的にはこねくり回し過ぎな印象を持ちました。「このクダリはなんだったの??」って思う部分があって、ページ稼ぎのために無駄にもう "ひと掻き回し" してみましたって感じじゃない?なんて思っちゃいましたよ^^;

    一筋縄ではいかない感じの終わり方は面白いと思ったけど、私としてはラヴコメ的に解りやすくまとめ上げてくれた映画版の方を支持させて頂きます。
    しかしその映画は、IMDbに投稿されている感想をチラっと読むと、「ウォーのウィットが表現できてない」とか「年代がズレてる」などで原作ファンにはウケが悪い様子。
    やはり私には文学を読む才能がありません。でもまぁ、この本が楽しめたことは確かですけど^^














    【日記・本】もし僕のパパがロックスターだったら〜コネと七光と醜聞と〜

    「もし僕のパパがロックスターだったら〜コネと七光と醜聞と〜」という、ちょっと目の付け所の面白い本を読んでみました。原題は「How's Your Dad?: Living in the Shadow of a Rock Star Parent」。「で、パパは元気?」というのが、二世ミュージシャンがいつも聞かれる質問だそうです。

    庶民の子供として生まれ育った私からすれば有名人の子供って、セレブとして優遇されて思いっきり甘やかされたお坊ちゃまお嬢ちゃまな人生を華々しく送ってんでしょ?と半分以上やっかみ混じりの想像をしちゃうところ。だって話題になって聞こえてくるのは「誕生日パーティの費用は1億円!」みたいな話ばかりですもん。実際はどうなんでしょうねー?^^

    ということでこの本は、70年代〜80年代頃に活躍したプログレッシヴ・ロックバンド、イエスのギタリスト、スティーヴ・ハウの息子ディラン・ハウと結婚した一般人、ゾーイ・ストリート・ハウによって書かれています。著者本人は一般庶民として育ち、ロックスターの息子として育った男性と結婚したことで、「この立場を利用しない手はないわ!」と考えたわけでしょう^^彼女の夫をはじめとする様々な大物ミュージシャンの子供達へのインタビューを敢行。"スターの子供" としての思い出を色々引き出してまとめてくれました。ちなみにゾーイは、他にも著作があるようなので、プロの物書きではあるご様子です。

    噂や推測が元の話は無く、ほぼ全部が取材した人たちの証言が元になっている、結構ちゃんとした内容です。ひたすらそれぞれのエピソードが淡々と並べられ、最終的には彼らの立場や気持ちを解ってあげて〜という感じになっていました。なかなか興味深く読めましたよ。

    当然のことではありますが、ロックスターの子供の全てが同じようにいい思い、ヤな思いをしているわけじゃないということ、そしてそれぞれがどんな恩恵を受けどんな奇抜な体験をしてきたかがサラリと書かれていて、いろんなパターンを知ることができ、それなりに面白かったです^^(身近にそういう人が居ないからか)特に考えたこともなった当人の苦労などが分かったのは良かったと思います。

    しかし個人的には若干の読みにくさを感じる本ではありました^^;一文が短く気軽な口調の文体は、一見楽に読めそうな雰囲気ではありますが、続けて読んでいると少し不自然さが鼻につくことも。こういう文体は英語で読む分には、特に私のような英語読書初心者にはとっつき易そうだけれど、そのまま日本語になると微妙な感じになっちゃうんですかねー^^;

    それと各章は人物ごとではなく、学校のことやドラッグのこと、ツアー同行やセレブの子供で得したこと、などのカテゴリーごとでまとめてあって、その中で「この人の場合はこう、しかしあの人の場合はこう。」といった感じに、次々と別の人の話に移っていってしまうので、結局誰がどんな生活だったのかが、イマイチ頭の中で整理できないまま読み終えた感じです。実際は「誰が」ということはどうでもいいのかもしれませんが、そういった下世話なことに興味があって読んだ身にはちょっぴり物足りなさもあったり^^;

    バラエティ番組なんかで見かける、どう考えても親の七光りでしかない二世タレントさんもいらっしゃいますが、ミュージシャンとなると、まぁコネはあるかもしれませんが、やっぱりご本人の努力や才能か何かがないとどうにもなりませんよねぇ。それを七光りとヤジるのは、明らかに言う方の妬みじゃないの?と思います。(※この本の著者がヤジっているのではありません)

    でも、大物ミュージシャンの子供とわかると、どうしてもそんなことを言う人が出てきちゃうようで。想像すると、自分の努力を無視されることへの苛立ちって相当だろうなーと同情しちゃいますね。
    近頃は、売れてからしか正体(親が誰か)を明かさない二世ミュージシャンもいらっしゃいますが(ドラゴン・アッシュとか?)、それが正解なんじゃないかな?ま、今の時代は長く隠しておくのは難しいでしょうけどねー。






















    【日記・本】銀河ヒッチハイク・ガイド

    イギリスの傑作SFコメディ「銀河ヒッチハイク・ガイド」を読みましたー!私はSF小説初心者ですが、SFであることは何のネックにもなりませんでしたね。これには驚きです!まぁ、映像を先に観た(→過去記事)ため全てを簡単にイメージできたから、ということが大きいかとは思いますが♪

    【銀河ヒッチハイク・ガイド】
    1978年にBBCでラジオドラマとしてスタートし、その後、小説版、テレビ版などが出来て、2005年に映画化された作品ですね。
    Amazon.co.jp でDVDと小説それぞれのユーザーレビューを拝見すると、小説のファンで映画版が気に入らないという方は見かけましたが、逆は見当たらない。てことは、映画版がお気に入りの私が気に入らないわけがないよねー!!ということで、映画と同じようにガッツリ楽しめましたよ〜♪

    お話は、思ったよりも映画のまんま・・・というか、映画は小説にかなり忠実だったのね〜という印象です。個人的には読み終えて内容を反芻してみると、頭の中でいつのまにか映画とごっちゃになってしまってる部分がありそうな気もしてきました。というのは、イメージが全然違わないから^^


    私は映画を先に観たので、小説を読んでいて想像する人物像や宇宙人像や風景などが、だいたい映画のまんまなんですよね。実際には映画オリジナルの部分があったと思いますが、映画で観たそれらも全然違和感なかったと思いますし、逆に映像化されてなかった部分も小説にはありましたが、それも映画のイメージのまま違和感なく読んで行けましたし。

    ということで、あの映画が気に入らない小説ファンの方々は、何がそんなに気に入らなかったんだろう・・・と、結構本気で謎に思っちゃってます^^;
    私的にはむしろ、映画の方が良かった部分だってあるんでない?ってくらいですよ。
    無限不可能性ドライブを起動した際の映像表現なんか、凄いお気に入りですし♪(必ずしも映画オリジナルの表現でもないかもしれませんが)

    2つの頭を持つゼイフォードなんか、小説では最初にそんな記述があるだけで、読み進むうちに忘れてしまいそうなほどその特徴が活かせていなかったけれど、映画では思いっきり物語に組み込まれてましたしねー^^(ま、そこは作者的にはどうでもいいってことなんでしょうけども)

    映画で観た時には、よく解んないけどなんだか哲学的?なんてことだけ思ってましたが、どうも哲学者なんかにケンカを売ってるんですね♪ 映画では小説にはなかった宗教家を思いっきりバカにしたクダリがありましたけど、こういった解りやすい皮肉ギャグって映画で小説でも、素直に面白いですね〜^^ 大好きです!
    活字で読むと、それこそ次から次へと、って感じに思えて笑いの連続でした!!
    最後のマーヴィンのクダリは、小説の方が好みだったかな。映画の方は視覚的に解りやすかったですけどね^^

    いやぁ〜・・・それにしてもハマりますね〜。是非、シリーズの続きも読んで行きたいと思います。こういうのこそ、原語で読むべきって気がしますけど、オモロい所が理解できなかったら勿体ないし^^;悩ましいところですね。日本語で読んでから英語でってのがいいのかな。ま、そのうちに♪















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